北海道パウダーベルトを楽しむ小さめスキー場(キャンモア、ほろたち、カムイ)
北海道移住を希望するたくさんの人たちの中には、「冬にパウダースノーを心ゆくまで楽しみたい」と考える人も少なくないと思います。最も有名なエリアはニセコ(NISEKO)ですが、北海道パウダーベルト(The Hokkaido Powder Belt)は雪の軽さ、スキーヤーの少なさ、物価の安さから、いま注目のエリアです。
今回は、Hokkaido Powder Beltのメジャーとローカルスキー場について、札幌在住のサンデースキーヤのShiraiが紹介したいと思います。Shiraiはアルペンスキー(普通のスキー)とテレマークスキー(かかとが上がるスキー)をやっていて、足前は、アルペンが自称中上級、テレマークスキーは自称中級です。テレマークスキーではバックカントリーにも行きます。
※Hokkaido Powder Belt:北海道の中央に位置し、世界でも有数のパウダースノーを楽しめる、トマム、富良野、カムイ、黒岳などのスキーエリアの総称。
カムイスキーリンクス:山全部をゲレンデにしたのか!!
テレマークスキー使用(センター102mmのパウダー板)
ゲレンデトップまで2000メートルを超すゴンドラが延びていて、そこから右・真ん中・左と滑り込む。それぞれちょうどいい位置にペアリフトがあり、山頂付近まで連れて行ってくれる。非常に上手にレイアウトされたスキー場。そして、コースとコースの間がサイドカントリーエリアになっていて、山の西側から北西面にかけて本当にすべてがスキー場となっている。
自分がここを訪れるのは35,6年ぶり。ほぼ忘れていて、当時の記憶は「寒い」こと(笑)。
今回訪れたのは2025年12月31日。雪不足が心配されていて、サイドカントリーが開いていなかったので、コースだけをほぼ全部滑ってみた。
何と言ったらいいか微妙だけど、誤解を恐れずいえば、広い斜面でカービングも楽しいけれど、そんなの1,2本でいい。このスキー場を楽しみつくしたいと思うようになった。
となると、ゲレンデを見上げて左側の圧雪車(ピステン)が入っていない未圧雪エリアへの期待がふくらむ。
Shiraiが訪問した日は降雪がほとんどなく、本当にただの未圧雪斜面だったが、滑りやすい。斜面の凸部分がやわらかいのと、凹部分がアイスバーンになってないので、何となくフォールラインに向かってビビらずに落ちていこうと思える。
ボクにとってテレマークスキーはアルペンほど細かいバランスとりができず、滑りのバリエーションがない。それでも楽しめる。
ここはアルペンスキーでもう1回来たいなと思った。 あと、ゲレンデトップと下部で雪質の変化が感じられない。上から下まで寒いからだろう(笑)。
なお、ランチはラーメンハウス「らぁめん食堂NOBu」を選んだ。旭川ラーメンの有名店ということでしょうゆを頼んだ。これうまい。油で汁が覆われていて、さめない。いいものを食べさせていただきました。軽く感動!!
補足:2025年1月9日の日本経済新聞Web版によると、【北海道旭川にスキーリゾート構想が浮上 「カムイ」隣接】とのタイトルで、北海道旭川市で同市初となる大規模スキーリゾート構想が浮上していると伝えた。
道北最大級のスキー場「カムイスキーリンクス」の隣接地に合計で約800床の住宅・宿泊施設やレストラン、温泉、ミニゲレンデなどを整備するプランだ。2030年の完成を目標とするが総事業費は500億〜1000億円とみられる。事業主体はリゾート開発の北海道グローバル(札幌市)。
キャンモアスキービレッジ:クワッドリフトがあるローカルスキー場
アルペンスキー使用(センター82mmくらいのツインチップ)12月30日
例えば、東川町に移住したら町のスキー場。当麻町からは隣町の20分前後で行けるスキー場、美瑛町なら30分前後で行けるスキー場です。
近さはけっこう重要で、小さいスキー場でシーズンインの足慣らしや技術チェック、滑走感覚の思い出しなどしたいことがある。1日券を買ってというより、3,4時間券やナイター券で滑るというのが近場のスキー場のいいところ。
キャンモアスキービレッジは、ボク自身初登場。着いていきなり昼食。センターハウスで「ザンギ丼」を頼んでみた。
チケットを出したら「お呼びしますのでお席でお待ちください」というスタイル。東川町の公的施設に一貫して感じられるホスピタリティが、ここでも感じられた。
お味は普通でした(笑)。
さ、滑ろうぜ。
真ん中に1本4人乗りクワッドリフトがかかっていて、ゲレンデトップから左右に分かれて滑るレイアウト。初心者用に緩斜面にペアリフトも用意されている。
クワッドリフトがあるローカルスキー場は少ない。短時間でわりと長い距離を運んでくれ、冷えるナイターではとてもありがたい。
アルペンスキーはこの日がシーズン最初。アルペンだけをやっていたころは、小回りから入って、長い距離をノンストップで滑って(2000mとか!)、スキーの感触を楽しんだが、いまはそこまで滑り込んでないので、最初に小回りがうまくできない(笑)。なので、中まわりで入って、アンギュレーションがちゃんととれているかをチェックし、ローテーションを抑えて、横滑りで足裏感覚を思い出させるということをひととおりやった。
これらは、アイスバーンが削られた重い雪などだと難易度が上がる。しかし、さすがHokkaido Powder Belt。そもそもアイスバーンがほとんどない。雪が少なめで雪面はビシッと締まっている。
スキーが動くようになってきたので、コース脇のパウダーをいただく。やわらかい!!ちょっと気合いを入れて突っ込んでも、スキーは思うように動いてくれる。 カービングしても雪がよくかんでくれるので、上達した錯覚に襲われる。札幌圏のローカルスキー場とはまるで違う上質な雪に軽く感動する。
ほろたちスキー場:寒さと積雪で有名な道北にある国設スキー場
テレマークスキー使用(センター102mmのパウダー板)
道北の中心都市・旭川から車で1時間ほどとちょっと離れた場所にあるが、ローカルスキー場として見逃せないほろたちスキー場も訪問した。ここは、いちどは訪ねるべきスキー場だからだ。
というのも、メチャメチャ雪が降る。今年のデータを貼ってみた。すでに降雪量は5メートルを超え、積雪も1.5メートル。ボクが訪れた今年1月1日だけは、前日から2日間降雪なしという残念な天気だったが、どうしても行ってみたかったのだ。ちなみに朝10時に到着したときの外気温はマイナス18度。息を吸ったら少しむせた(笑) リフトは600メートルのペアリフトが1基。ここもゲレンデトップから左右に滑り込むレイアウトだ。
快晴で無風だから気温ほど寒さを感じない。というか、本当はパウダー斜面を滑りたかったコースがもれなく不整地と化しており、そこを滑り降りると汗をかく。ミドラーの化繊ダウンウェアを1枚脱いでちょうどよくなった。
これだけ不整地が残されている点が、カムイスキーリンクスと同じ。スキー文化が札幌やNISEKOとちょっと違う気がしてきた。 この日はマイナス10度以下の気温で、アルペンスキー少年団がポール練習をしていた。かなりの斜度の斜面にもスラローム用ポールを立てて、ゲレンデにあの「パコン・パコン」音が響いていた。
ボクは、テレマークスキーで斜度30度以上の不整地斜面がまだうまく滑れないため、斜面を選んで滑ったが、それでもおなかいっぱいになる。これがローカルスキー場のいいところだ。本当はパウダーで滑りたかったが、ずっと来てみたかったスキー場なので、もう滑れることだけで満足。
Hokkaido Powder Belt スキー場情報
○札幌圏やNISEKOと比べ、スキー場の規制がゆるやか。
○未圧雪斜面を多く残している。すぐにただのコブ斜面になってしまう札幌圏は、けっきょくピステンを入れることになるが、わりとやわらかな状態を維持できるからか。
○雪が軽い。ゲレンデの未圧雪を滑ってもウェアの腰あたりまで雪で白くなる。
移住するなら、自宅から通う。ツーリストなら旭川泊となる。旭川市内は温泉が少ないのがアレだけど、食事やcafé、BARは不自由しない。スキー シーズンは、旭岳や黒岳が春まで楽しめる。それ以外はおおむね3月末でクローズ。
スキー場の公式サイト集
https://www.yarube-horokanai.com
〈付録〉NISEKOか、Hokkaido Powder Beltか
NISEKOは言わずもがな、いまや世界的スノーリゾートです。その良さを挙げます。
・雪が多く、かなりの確率でフレッシュパウダーに当たる
・いい斜面がそろっていて、ゲレンデでも十分楽しめる
・有名なガイドがいるので、装備さえ揃えれば、ガイドツアーでバックカントリーに気軽に出られる
うーんな点
△リフト券、食事など物価が高くなった。
△スキーヤー・ボーダーが多いので、朝のゴンドラ競争率が高い
△雪の反発力がある分、ディープパウダーになると手こずる
Hokkaido Powder Beltのよい点
・雪が軽い(空気と同じような質量感のない雪)
・スキーヤー・ボーダーが少ないから、パウダーがわりと食われない、コース管理もおおらか
・リフト券、食事など物価は普通(高価じゃない)
うーんな点
△スキー以外の楽しみに欠ける(そこまで開発されていないので)
△NISEKOアンヌプリのような密集スキーエリアはない
△雪は少ないので、毎日があたりにはなりにくい
雪質の違いについて解説
NISEKOはパウダースノー、Hokkaido Powder Beltはアスピリンスノーといわれることがあります。
NISEKOは本当に小麦粉のような雪で、たくさん降れば重さが出てきます。しかし、その重さというか密度のおかげで雪面に反発力が生まれ、あの、独特の浮いている滑走感覚が生まれます。これがNISEKOの最大の魅力です。うーたまらん。
一方、アスピリンスノーは、その重さがないのです。NISEKOは海からすぐに来る湿った雪であるのに対し、Hokkaido Powder Beltは北海道中央部まで流れてくる乾いた・ドライパウダーです。
ボクはHokkaido Powder Beltでバックカントリーに出たことがないので面ツルがどんな状況なのかわかりませんが、ゲレンデではその軽い雪に助けられ、スキーが自在に動き、二段階くらいうまくなった気がします。
結論:どっちがいいではなく、どっちも個性です。
「北海道パウダーベルト」を楽しむ
〈写真〉うわさのビニールハウス休憩所(キャンモアスキービレッジ)
有名なのは富良野スキー場、星野リゾート トマム、カムイスキーリンクスの3スキー場です。そこに異論はありませんが、毎日がビッグスキー場でリゾートを楽しむわけでもありません。むしろスキーヤーとしては、午後から、夕方から滑りたいと思ったときに通える「身近なスキー場」も大切。
また、60歳を超えたシニアは、小さなスキー場の楽しさに気がついていると思います。ローカルの良さ、小さいことの良さがつまっているスキー場がまだまだたくさんあります!
今回取り上げた、Hokkaido Powder Beltの1つとして有名なカムイスキーリンクス、移住地として人気と実力を兼ね備えた東川町のキャンモアスキービレッジ、そして知る人ぞ知る!超穴場のほろたちスキー場(幌加内町)は、それぞれ個性があるスキー場でした。