移住ストーリー

大阪から北海道浦河町へ移住 神馬建設との家づくり/店舗兼住宅「テラ.シャン」

北海道浦河町の街から少し入った向別エリアに、お酒と料理が楽しめるワインバーTerra-Cham(テラ.シャン)があります。オーナーは大阪から移住してきた寺浦和也さん。奥さまの左岐子さんと2022年3月にこの店をオープンし、今では地元民から幅広く愛されるお店になりました。

店舗兼住宅を建てたのは浦河町の神馬建設。1982年の創業以来、地域に根ざした家づくりを続けており、3代目社長の神馬充匡社長は浦河町の地域活性化にも尽力している人物です。

今回はテラ.シャンにお邪魔し、寺浦さんの移住の経緯や神馬建設の家づくりについてお話をうかがいます。

馬に魅せられ浦河町移住を決意

ご夫婦ともに出身地は大阪。移住前は大阪で長く材木店を営んでいた寺浦さん。浦河町とはどんなご縁があったのでしょう。

左から神馬充匡社長と寺浦和也さん

寺浦さん 僕は出不精でね、大阪時代は近くの有馬温泉に行くくらいで十分満足してました。北海道へは嫁さんと、競走馬が好きな義母が、馬を見るために昔からちょくちょく通ってて。10年ほど前の桜の時期に、妻が「一緒に行こう」言うて、あんまり誘うもんやから、重い腰を上げて訪れたのが最初でした。

札幌、余市、旭川と、寒かったり天気が悪かったりで、やっぱり有馬温泉で十分やん!って(笑)。すねてたんやけど、最後にトマムから十勝を通過して、浦河に寄ったんです。

道路を挟んだ向かい側には隣家が飼っているサラブレッドの牧柵が。馬たちと日常的に触れ合える環境が何より気に入っている

嫁さんが運転しとって、僕は眠ってたんやけど、ちょうど天馬街道から浦河に入ったところで目が覚めて。窓の向こうにお母さん馬と、生まれたての仔馬が見えた瞬間、「車停めて!」って叫んどった。

かわいくてなぁ。車を降りて、柵まで近寄って「おいでおいで」言うて。僕、そんなん見るん初めてで、めっちゃ感動したんです。

2階居住スペースからの眺め。緩やかな丘陵に広がる牧草地に牛や馬が放牧されている

その時宿泊した「うらかわ優秀ビレッジAERU」でも馬とふれあい、その後、年3回は夫婦で浦河を訪れるようになったそう。大阪でも乗馬を始め、寺浦さんは馬とAERUにハマり、ついには自分の馬を購入します。

寺浦さん 乗馬は大阪でもできるけど、浦河でのびのび乗るのが最高でね。愛馬はクロムいう名前でね、女の子です。

その後は通うたびに滞在期間が長くなり3年目の年に寺浦さんの心は「移住」に傾きます。

寺浦さん 浦河町の「生活体験住宅」を利用して、色々なエリアで短期間、実際に暮らしてみました。生活環境を調べたり、地元の人や移住者の先輩たちとのつながりもできて、浦河移住の気持ちが固まったんです。

亡くなったオカンと、いつか喫茶店やらお好み焼き屋をやりたいなって言っていて。その夢も叶えたくて、移住後は自然に囲まれた場所で飲食店をやろうと考えていました。

難航した土地と工務店探し。「対応してくれたのは神馬さんだけでした」

浦河を巡る中で理想の土地を見つけましたが、売買は成立せず一時は断念。さらに店舗兼住宅を建ててくれる工務店探しも難航します。

なだらかな丘陵に放牧牛の姿が見え、牧歌的な風景が広がっている

寺浦さん 道路を挟んで馬や牛の放牧が眺められるこの場所を見つけて「ここや!」思うて。前はお隣さんのビニルハウスがあったんやけど、何べんも通って「譲ってほしい」ってお願いしました。そしたら、ええよ、言うてくれて。それからもずっと良くしてもらっています。

土地は決まったけど、今度は家づくりのほうが大変でね。「どうせ大阪に帰るだろう」と相手にされなかったり、「今混んでる」言われて…。大手さんにも地元の工務店さんにも断られ続けました。失意の中、神馬建設さんのホームページを見つけて電話したことがきっかけでした。

神馬社長は僕の想いをじっくり聞いた上で、この土地を一緒に見て「いい場所ですね」って言ってくれたんです。社長のおかげで、ようやくスタートラインに立つことができました。あの時は嬉しかったなぁ。

テラスの開放感や景色を採り込むオープンな店内

アプローチは車椅子でも対応できるスロープがついたユニバーサルデザイン。ウェルカムな店構えにも寺浦さんの人柄が現れています。

雪景色を背景にした馬の写真がお客さまをお出迎え。

お店はフレンチ中心のワインバー。本格ワインセラーも。

大きなテラス窓が景色を取り込む開放的な店内。3つのテーブル席に加えカウンター席も備えています。

寺浦さん 週1回くらいの頻度で貸し切ってくれる方たちも増えました。そんな時はテーブル席をくっつけて、グループで楽しめるようにセッティングします。

当初はテラス部分までお店の内部に組み込んでたんやけど、アウトドアで料理を楽しめる空間もできて、こんな風に窓越しにテラスが続いてる造りにしてもらって正解でした。

コロナ真っただ中での建築と開店。今では地元の人気店に

テラ.シャンの建築時は、ちょうどコロナ期真っただ中。大阪と北海道の行き来も容易ではなく、プラン作成はメールでのやり取りが中心でした。2021年着工時に、ご夫婦は浦河町に移住して賃貸暮らしをしながら、家づくりと開店の準備を進めることを決意します。

カウンター越しにワインをサーブする寺浦さん

寺浦さん 家づくりを見守りたかったしね。左岐子はすぐに仕事も見つかって。今はAERUのスタッフとして週に2、3回働いています。

お店は厨房からカウンター越しにフロアを見渡せて、お客さんとのコミュニケーションも取りやすくて、とても気に入っています。

世界的にも評価が高いオーパス・ワンなど、ワインは左岐子さんがセレクト
通路窓からも緑が楽しめる。壁には愛馬・クロムとの写真も
大阪で仕事の合間を縫って料理を学んだ寺浦さん。生ハムや地元野菜を使った料理や、大阪名物のお好み焼きも人気
昼間は仕事に出ていることが多い左岐子さんも盛り付けやサーブを手伝う。キャンドルを灯したテラス席はカップルのデートにも最適

建物は2021年12月に完成し、翌3月にお店が開店。美味しい料理とお酒、ご夫婦のテンポよく温かい接客で、今では街の人も頻繁に訪れる人気店になっています。

浦河町の発展を一緒に盛り上げたい

寺浦さん この店は、ありがたいことに家族連れや女子会、牧畜関係者、町役場の人たちまで、色んな人たちの交流の場に使ってもらっています。

だからたくさん情報が集まってくる。僕はそういう情報や自分の体験、住まいや仕事についてなど、これから浦河町への移住を考えている人たちにも伝えたり、相談に乗れたらいいなと思っています。

神馬社長 私は、家をHouse=箱ではなく、Home=帰る場所と捉えています。おそらく一生に一度のマイホーム。50年は取り壊されることなく、長く住める家を提案しています。

一方、町役場の人たちや、地元の仲間たちと、町全体の活性化にも取り組んでいます。寺浦さんのように移住と家づくりを考えている方は、ぜひ問合せてみてほしいです。町の人たちと協力して、理想の暮らしをサポートします。

この夜、テラ.シャンでは神馬建設に就労体験で訪れている大学生の交流会が行われました。記事後半は神馬建設の地域活性化と人材育成の取り組みについて、交流会の様子を交えてお伝えします。記事はこちら

ワインバーTerra-Cham(テラ.シャン)

住所 北海道浦河郡浦河町向別303-60
電話 0146-26-9401
URL http://terra-cham.com/
営業時間 17:30〜22:00 
定休日 日曜日・月曜日 (テラスは5月頃~9月頃まで)

【2025年9月取材】
カメラ 本田光
取材・分 iezoom編集部

有限会社神馬建設

「住まいの将来」を見据えた地域密着+人材育成

北海道・浦河町の有限会社神馬建設は1987年に設立。創業は1972年で50年を超えます。住宅の新築、リフォーム、アフターメンテナンス、そして公共建築、さらにはまちおこし、地域活性化にも積極的に取り組んでいます。3代目社長の神馬充匡氏は建て主の暮らしや地域の風土、ライフスタイルの変化も踏まえた丁寧な家づくりを重視。建て主からも「共感力が高く、要望が実現できるので嬉しい」と高い評価を受けています。

住所】北海道浦河郡浦河町向が丘西1-539-45
電話番号】0146-22-3912
公式サイトhttps://jinba-kensetsu.com/
施工エリア】浦河町を中心に、新ひだか町、様似町など日高東部地区


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    北海道・浦河町

    北海道日高地方にある浦河町は海と山に囲まれた穏やかな自然と、暮らしやすい環境が魅力のまちです。中心部にはスーパーや病院、学校など生活施設が整い、初めての移住でも安心。特産品は「銀聖(ぎんせい)」というブランド鮭や日高昆布。馬のまちとしても知られ、「うらかわ優駿ビレッジAERU」では乗馬が楽しめて、四季を通じて心地よい田舎暮らしが実現します。

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